神奈川県建設労働組合連合会

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建設アスベスト訴訟 4訴訟が最高裁へ「政治主導で解決はかれ」

2019年1月1日

2008年に東京1陣訴訟が提訴されて以来、この10年間で、東京、神奈川、京都、大阪、北海道、九州の6カ所にそれぞれ1陣・2陣訴訟が提訴されました。計12件の訴訟が進行しており、原告数は約800人となりした。

 これまでに7つの地裁判決、4つの高裁判決が出され、昨年の大阪高裁判決で、国に対して10連勝となりました。

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 昨年3月の東京1陣高裁判決、8月の京都1陣大阪高裁判決、大阪1陣高裁判決で一人親方に対する国の責任を認め、全員勝訴も勝ち取っています。

 建材製造企業の責任を認める判決も5つとなり、これまで13社の責任が認められています。

判決を待たずに解決は可能

 国は、原告が解決を要請しても「裁判で係争中だから」の一点張りです。過去の公害や薬害の裁判では、地裁で国の責任が認められた後に、高裁判決を待たずに和解によって解決が図られた例は多くあります。

 建設アスベストのように、国が10連敗していながら、高裁で4回断罪されながら、話し合いのテーブルにつかないということは極めて異常な事態です。最高裁の判断を待つまでもなく、いまこそ解決にむけて動くべきです。

司法は行政の補助機関ではない

 全国で裁判闘争を続けていますが、裁判だけで建設アスベスト被害を救済するには大きな限界があります。国は、泉南アスベスト国賠訴訟と同様に、最高裁で負けた後に「被害者が提訴したら和解に応じる」という司法解決方式をとればいいと考えているかもしれませんが、建設アスベストは、司法解決方式では、適切な解決はできません。

 責任を負うべき国と石綿建材製造企業、ゼネコン等が応分の負担をして基金を創設し、すみやかに被害者の救済が求められています。

政治への働きかけ強め解決せまる

 4月のいっせい地方選、7月の参議院選の2つの選挙をチャンスとして、政治への働きかけが積極的に取り組まれます。全面解決にむけ、国会議員の賛同議員は衆院276人、参院132人の計408人まで広がりました。これをさらに広げ、最高裁と国あてへの署名を全国100万筆の目標で積み上げ、各地方議会から国への意見書の採択をすすめます。

 5月17日には日比谷野外音楽堂で提訴11年の決起集会が今年前半の山場として準備がすすめられています。

神奈川原告団「一日も早く全面解決を」

神奈川1陣訴訟平田原告団長

 半年ほど入院していましたが、送られてきた資料には目を通していました。自分も一人親方だからいい判決が出ているのはうれしい。昨年は大阪高裁へ傍聴に行き、席が江口裁判長の前で。むこうも気付いた感じの顔をしていました。

 早く全員を救済する基金制度を作ってもらいたい。2020年の東京オリンピック前までには遅くとも設立させたい。最高裁判決を待たずに早期解決へ動いてほしいものです。

神奈川2陣訴訟望月原告団長

 国は長年にわたり被害者を向き合うことなく憤りを感じるとともに、判決を待たずに無念の思いで亡くなられた仲間も日を追うごとに増え、悲しくやるせない思いです。
 長く苦しい裁判をしなくても全ての被害者が救済される「補償基金制度」の創設にむけて、命の続くかぎりあきらめずにがんばっていきたいと思います。

「政治へ最大限のアタックを」神奈川訴訟弁護士団長西村弁護士

 昨年は、国に対して10連勝ということと一人親方でも東京高裁で勝ち、大阪の2つが続きました。大阪ルートは国の責任を2分の1に格上げされました。判決の内容はホップステップジャンプと想定の一番いいところですすみました。にもかかわらず状況はまったくすすんでいません。

 これから神奈川、京都、大阪、東京の4つの裁判が最高裁で審理されます。まずは書記官に要請行動をします。残る福岡高裁は5月27日に結審が決まっています。札幌高裁も5月か6月の同じ時期に結審し、年内に判決が出る見込みです。そうなると最高裁も2つの判決を待ち、2019年いっぱいは判決を出さず、2020年の前半になる可能性も考えなくてはなりません。

大阪高裁判決後も、自民党や公明党の国会議員にも働きかけをしましたが、与党ベースではうまくすすんでいません。参議院選挙など情勢の変化のなかで政治への働きかけは最大限アタックする、最高裁にも早期に判決を出してもらう、この2正面で運動の構築をすすめましょう。

最高裁に勝てば制度ができるのか、ということもあります。国は最高裁で負けても、泉南方式でいちいち裁判してください、そうしたら和解して国の責任分を支払って終わりという思惑を持っています。それでは本当の解決にはなりません。この点を見越して政治的な働きかけを強めていきます。

 神奈川2陣は今月進行協議が行われ、4月15日に第1回の期日があります。証人の採用と意見陳述を求めています。最高裁をたたかいながらしっかりひとつひとつの裁判に勝利していくことが大切です。

これからも被害広がる「基金制度で救済を」アスベスト訴訟支援する会堀内代表委員

 10月には支援する会でアスベストシンポに取り組みました。あらためてアスベストの恐ろしさを実感しました。花粉とくらべてもアスベストは非常に小さく、空気中にちょっとあるだけでもかなりの毒性を発揮します。

 世界的にも報告されているだけで19万人が中皮腫などアスベストで亡くなっています。日本でも中皮腫だけで年間1500人以上が亡くなっています。

 これから建物が解体、改修がすすみます。その作業で、アスベストにさらされる建設従事者は増えていきます。10年から20年後がピークとなり、まさに今の問題と訴えなければなりません。

 裁判に勝っていい基金制度を作っていかなければなりません。支援する会は運動をすすめ、被害者救済制度を求めてがんばっていきます。

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