「社会保険」とは法律上定められた国の社会保障制度であり、公的な保険制度です。雇用関係における加入義務を怠れば、罰則もあります。
少なくとも会社単位での未加入事業所は解消したものの、労働者単位ではまだ「保険料負担に耐えられない」ことを理由に労働者を「一人親方労災」に加入させている事例が指摘をされており、その状況下で「一人親方」とされた労働者の死亡事故がゼネコン現場で発生しました。
「ゼネコンFの現場で建て方工事時に、重さ1トンの鉄骨を釣り上げたクレーンが暴走し、被災者に激突、頸部骨折により死亡」という事故でした。労基署は「一人親方労災に加入しているので同保険による申請を」としましたが、実態は一人親方化された「偽装請負」でした。
被災者は事業所と「一日1万8000円と残業代」という契約(口頭契約)でしたから、まぎれもなく契約上の「雇用労働者」でした。
日額6000円の一人親方労災での死亡事故の補償は死亡一時金480万円です。労働者として労災認定されれば同氏の場合、1440万円の補償となりますが、被災者には妻と子ども2人という家族構成であったことから、労働者として労災認定され、労災遺族年金が支給されることになりました。
本件では、どのような視点から見ても労働者であるにもかかわらず、一人親方労災に加入していたことで、6か月を過ぎてようやく労災支給決定となりました。
(つづく)