神奈川県建設労働組合連合会

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建設業で多く発症「“振動障害”を予防しよう」

2024年4月10日

 振動障害とは、振動工具を長期間使用することで起きる手指の障害です。インパクトレンチや削岩機、チェーンソーなど、手持ち式で振動する動力工具すべてに障害をひきおこす可能性があります。

指が白や紫色になるレイノー現象

 発症すると、指先が白くなる「レイノー現象(白ろう病)」や、手指の冷えや疼痛などの「末しょう循環障害」、手指のしびれや知覚鈍麻などの「末しょう神経障害」、手指・手・ひじ関節痛や握力低下などの「運動器(骨関節筋肉)障害」などの症状が現れます。

 治療は、薬物療法、理学療法、運動療法、温泉療法などを組み合わせて行います。なにより重要なのは症状の原因となる「振動」を避けることです。治療には長期間を要する場合もあります。

労災認定者数 建設業が最多

 全国で毎年300人前後が、振動障害の労災認定を受けており、常に5~6千人が療養しています。そのうち6割程度が建設業で他産業を圧倒して最多となっています。

 建設業では、作業効率を求めて様々な電動工具が普及してきました。職種を問わず、作業者は常に振動を受けています。しかし、振動障害の特殊健康診断の実施や作業の制限などはほとんど行われていません。

「3軸合成値」に注目し工具の使用時間に注意を

 振動障害を予防するためには、工具のカタログなどに示されている「3軸合成値」をもとに、1日の振動ばく露時間(使用時間)を制限することが必要です。3軸合成値が「20」の振動工具は1日30分、「14」の工具では1時間、「10」の工具は2時間となります。値が「10」未満やわからない場合でも、振動ばく露時間を2時間以内にすることが原則とされています。

 他にも、防寒と保温、適度な体操、禁煙などが大切です。喫煙は末しょうの血管収縮を引き起こし、振動障害の誘引、増悪の原因となります。

組合と建設国保、民医連で掘り起し

 神建連労対部では、振動障害の学習や周知に取り組んでいます。適切に作業時間を管理し、特殊健診の受診をすすめましょう。症状が重くなって療養が必要な場合には労災申請をすすめましょう。

 建設国保では振動障害の疑いのある疾患で医療機関を受診した方に、アンケートや聞き取り調査を実施しています。

 診察や労災申請に必要な検査をおこなうため神奈川民医連(神奈川県民主医療機関連合会)と連携してフォロー体制を確立しています。ご相談等は所属の組合にお寄せください。

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